弘法伝説の旅
 
 弘法大師伝説をたずねて

 


(弘法大師空海)
 日本史上もっとも身近で、宗派を超越した存在でもあるというのは、弘法大師伝説の民間伝承という単純な理由だけでしょうか。おそらく伝説が一人歩きをせず、常に伝承された地域の方々にとって、誇りであり、慕ってきたということが、単なる説話で終わらなかったことに関係ありそうです。伝承過程の中に弘法大師が確かに生き続け、その地域にとって大いなる意義を脈々と受け継いできたのでしょう。
 それほどまでに存在感がある弘法大師伝説ですが、眉唾物も多く、実際には中世に隆盛を極めた高野聖によるものも少なくありません。しかし仮に創られた弘法伝説だとしても、庶民にとってはかけがえのない「お大師様」の伝承であって、決して価値が低められることにはならないのです。なぜならその伝説こそが弘法大師との身近な接点であることに、なんら変わりないからです。
 わたしたちは歴史学者ではありません。歴史的真実だけを追い求めるのではなく、その地に確かに根付く伝説から改めて弘法大師の偉大さを理解していくのも、歴史を文化・習慣という側面で捉えることにつながるのだと考えます。歴史的真偽を別にしても、伝説は現代のわたしたちに多くを語ってくれるはずです。
 そこで弘法倶楽部では、弘法大師の奇蹟に大いなる浪漫を求め、伝説の残る各地を訪ねる「同行二人」の旅を企画し、本誌にて連載で紹介していくことにしました。
 単なる観光ガイドではない旅を、今後も続けていきたいと思います。

弘法大師空海の伝説は、日本全国に拡がる
(袈裟丸山近くの修行大師)

 



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